四百四十四発目

2008年10月31日 連載
『見覚えがありますか?』

「あぁ・・・たっぷりな」

眼前には


中学生の頃の


"俺"が居た



「ということは・・・」

『そう・・・ここはあなたの"過去"です』

「懐かしいな」

『ちなみに、今のあなたも周りからは見えていませんのでご安心を』

「それは助かる・・・で、ここに連れてきた理由は何だ」

『あなたは今から 世界を終わらせるのです』

「これまたでっかくきやがったなぁ、"どの"世界だ?」

『心の中の世界』

「俺に死ねっつってんのか」

『そんなストレートなこと言えませんよ』

『タイムパラドックスってご存知ですか?』

「ちょっとな」

『過去を変えると未来が変わる』

『実際そのようなこと起こりえないのに、変な言葉ですよね』

「後悔の代表みたいな言葉だよな、"あのときこうしておけば"から生まれたというか」

「まさか俺にタイムパラドックスを起こせと?」

『あなたが"心の中の世界"を望まないように、ね』

「そうきたか・・・中坊の俺を改変しようってか」

『"我"が強くなりはじめるのは大体あの頃ですからね』

『中学2年生・・・丁度いい時期かと』

「部活で鍛えられてる頃だからな、連帯感とか責任感とか痛感しはじめる頃だろうよ」

『あなたには放課後に動いてもらいます』

「姿、見えねぇんじゃねぇのか?」

『見えるようになりますので』

「何すりゃいいんだよ」

『"彼"を助けてあげるんです』

「・・・はぁ」

『とりあえず今はここで見学でもしてましょう』


・・・・・
・・・・
・・・
・・




「・・・もう、8年も前になるのか」

『今見るとどうですか?』

「よくやってんなぁ~ って思うよ」

「当時は辛かったけどな、色々と」

「指導者なんだけど、なんか変なヤツ来てさ」

「当時の俺らには相当キツい練習だったなぁ」

『じゃぁ大体その頃ですかね・・・あなたの心が弱り始めたのは』

「かもな・・・今でも思い出すだけで嫌な気持ちになるよ」

『よっぽどだったんですね』

「・・・なぁ、どうでもいいかもしれんが」

『何でしょう?』

「お前はいつまでその姿なんだ?なんつーかその、猫というか何とかいうか」

「正直よく分からん姿なんだけど」

『そんな姿になってましたか、自分では分からないんですよ、自分の姿など』

「そりゃそうか、鏡でもない限り・・・な」

『それはそうと、そろそろ練習が終わるようですよ』

「今外だから、部室帰って、片付けやって、7時くらいには帰るんだっけか」

『結構遅くまでやってるんですね』

「そうだな・・・特にこの時期はな」



『・・・ようやく帰るようですね』

「結構長かったな、反省会」

『さて、出番ですよ?』

「あぁ・・・」

『くれぐれも気をつけてください』

「あぁ・・・」

説明に於いて、過去の俺がどんな顔をするかを想像しながら

"彼"の後を追った

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